喉を傷めやすい姿勢
投稿日: 2019年11月19日
| カテゴリ: ★元気なカラダ、気になる姿勢
本来きれいな声の
Aさんですが、
時々、お会いした時に
かすれ声に
なっていることがあります。
空気の乾燥や、
風邪のせいかな、
と思うことも
あったのですが。
実は、
姿勢と体の使い方に
原因がありました。
先日、朝お会いした時に
声がかすれていたので、
「風邪ですか？」
とお声がけをしたら、
声がかすれていることにも
その時はじめて気づいた、
というようす。
体調が悪いわけでもない。
Aさんは
横から見た時、
頭が前に出てしまう
姿勢になりやすい方。
頭が前に出る姿勢 正常な姿勢
頭を支えるために
斜角筋、胸鎖乳突筋など
首の側方、前方の筋肉
をよく使います。
前傾姿勢により、
頸椎や腰椎にも
体の重さの負担が増え、
横隔膜が働きにくくなります。
息を吸ったり
吐いたりすると、
肺に空気が出入りするのは
知られていますが、
実は肺には
自動的に
膨らんだり縮んだり
する機能はありません。
肺の入れ物である
胸腔というスペースの
容積が変化することが
私たちの呼吸を助けます。
（「ボディ・ナビケーション
～触ってわかる身体解剖」
医道の日本社）
胸腔の容積を
広げたり縮めるのに
活躍するのが、
横隔膜と斜角筋です。
首と肋骨をつなぐ筋肉の
斜角筋が肋骨を持ち上げ、
外側肋間筋が
胸腔全体を広げるのを助けます。
横隔膜は
肋骨の中で
丸いドーム状になっている
筋肉です。
横隔膜の
ドームの頂上が
お腹の方（胃腸のある方向）
に下がり、
そこに付着した
肺が広がっていきます。
それにより、
胸腔の上部に空間ができて
空気が薄くなります。
結果として、
外気が鼻、口から気管、
気管支を通って
肺に流入してきます。
これが、
息を吸う（吸気）しくみです。
そして、
横隔膜のドームの頂上が
元の肋骨の中に戻っていくと、
胸腔のスペースが狭くなるため、
圧力を受けた肺がしぼみ、
空気が気管支、
気管、鼻を通って
外に出ていく。
これが、
息を吐く（呼気）しくみです。
Aさんは、
首や肩回りの筋肉を使って
いつも頭が前に出る姿勢を
とってしまいやすいため、
横隔膜をほとんど使わない
胸式呼吸がクセになって、
呼吸が浅くなりがちです。
以前はそれで
喘息の症状も出ていました。
声を出すにも
安定した深い呼吸が
できることが
必要です。
この日は、
Aさんの姿勢を
変えるための運動と
呼吸のトレーニングを
一緒に行ったところ、
帰る時には
本来のきれいな声で
お話できるようになりました。
Aさんは姿勢が変わる前は
喘息や咳が止まらない風邪の症状が
時々出ていた印象ですが、
最近はそういった症状を
見ることが
ほとんどなくなりました。
前傾姿勢によって
呼吸が浅くなり、
少ない空気で無理やり
発声し続けることで、
喉を痛めやすく、
風邪の症状が出やすかった
可能性も考えられます。
ちなみに、
大きな美しい声を
出すことが大切な歌手の方や
俳優さんたちも、
見た目だけでなく
パフォーマンスのためにも
姿勢を大切にされています。
オーディションや
大切な本番前に
姿勢を整えにくる方も
いらっしゃいます。
姿勢がいい状態で
体を無理なく使うことは、
本当に大切なことだな、
ということを
あらためて感じました。
（参考）
呼吸のしくみは、こちらがわかりやすいので、
ご興味があったらご覧ください。
https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1619
